ブレーキパッド・オイル類の卸販売業

brake trouble

西日本エリアのサーキット使用におけるブレーキパッドの取り扱いについて追記しています。

パッドがオーバーシュートした事例

使用状況に対して装着したブレーキパッドの能力が足りていなかった事例と適合した比較事例です。
トラブルローター トラブルローター
  1. 上記画像は、シビックワンメイク車輌を岡山国際サーキットにて同日パッド比較テストを実施。
    画像左側(上)「CC5」と画像右側(下)「SC4」の摩材表面の状態を比較した画像となります。
    左画像はフェードこそしていませんでしたが、摩材タイプの性能限界付近で走行し続けた結果、ローター材質が摩材表面に溶け込んでしまいパッド摩材表面とローター表面が互いに溶着状態で擦れ合う様な状態になり、ローター表面が荒れた状態となりました。
  2. 「CC5」で走行後「SC4」に交換した所、上右画像の様にパッド表面にローター材質は溶着しておらず、摩材表面とローター表面共に正常な状態となりました。
    上記の事からパッド摩材が高温連続使用環境に余裕のあるマッチングですと、パッドもローターも比較的良い状態で使用いただけるかと思います。
トラブルローター トラブルローター
上画像2枚はツインリンクもてぎにて「CC5」を装着し走行後のパッドです。
使用状況に対しパッド摩材能力が足りない状態で連続周回した結果、超高温になり裏板が歪んでしまいました。
制動力が高温状態で極端に落ちない場合や緩やかに落ちる場合には、高温状態におけるブレーキ周辺温度に起因するトラブルに気が付かずに走行してしまうと非常に危険な状態となります。
(ブレーキが抜けるまで走行していたそうです)
ブレーキに厳しい車輌でのサーキット走行では、クーリングラップを挟んだり走行後の定期的なブレーキチェックが必要となります。
トラブルローター トラブルローター
上画像2枚は岡山国際サーキットにて「D700」を装着して走行後のパッドです。
車の仕様やラップタイム的にもブレーキ負荷が過度に掛かる状況では無いにもかかわらす、異常高温により摩材原料が溶解してしまい、ローター進入方向から柔らかくなった摩材原料が片寄ってしまった摩耗状態です。(裏板も高温で歪んでおり非常に珍しい摩耗状態です)
同じ仕様の車とドライバーで岡山国際サーキットにて同じパッド「D700」を再び装着後、ブレーキの掛け方を短く強く踏む様にブレーキの掛け方を変えてもらった所、パッドの摩材状態は正常に戻りました。
摩擦係数の高いパッド程、ブレーキ踏力を緩く長く踏んでしまうと高温状態になってしまいます。

上記の状態になった場合は、ブレーキの掛け方も考慮しながら、ブレーキパッドの性能をランクアップするかダクトを設置したりローター外径をランクアップする等の対策をしてご使用下さい。

パッドがオーバースペックだった事例

使用状況に対して装着したブレーキパッドの能力が高過ぎた事例です。
トラブルローター トラブルローター
  • 画像左側(上)は「CC5」で極寒のWET路面コンディションで走行した際、低温側に有効レンジが外れた状態で走行、潤滑剤も溶けださない状況下なのでコントロール性も無く、踏めば即ロック状態との事でした。
    ローター温度350℃以上で性能を発揮する高温寄りのパッド摩材だった為、低温側で有効レンジを外した使用環境の中、パッド表面がアスファルトの様になってしまい、ローターも有効温度帯に溶け出すはずの潤滑剤が機能せず異常摩耗を起こしました。
    低気温で路面温度が低くなるケースでは、タイヤのグリップレンジが外れてしまい路面とタイヤが摩擦しにくい状態で、高摩擦材は特に扱いづらくなるケースがあります。
    (低踏力で直ぐロックする為にブレーキコントロールがしにくくなります)
  • 画像右側(下)も「SC5」の低温側使用によりアスファルト状のザラついた状態になり摩材欠損も見受けられます。
トラブルローター トラブルローター
画像右側(下)は「SC5」の低温側に有効温度帯を外れた状態で使用されたローター表面です。
パッドの本来性能を最も発揮する有効温度帯を外してしまうと、耐摩耗性に優れた特性を持つSC5の摩材であってもパッド摩耗が著しくローター摩耗も激しく促進されてしまいます。
車輌仕様やスピードレンジ(最高速の程度)等を再考し、パッド摩材を3~4ランク下げていく毎にパッドの摩耗性やローター攻撃性、ブレーキフィーリング全てが良くなっていきました。
上記事例は車輌仕様と走行ステージに適合した正しいパッド摩材の選定がとても重要な事を示します。

ローター使用限度値を超えて使用した事例

使用限界を超えた状態でサーキット走行した事例です。
トラブルローター トラブルローター
  • 画像左側(上)は、岡山国際サーキットを「D700」にて使用限度値を超えた摩耗状態のローターで走行。
    コースイン後の走り始め直後から強いブレーキジャダーが発生、ピットイン後のローターです。
    ベンチレーテッドローターのピラー部分と通風孔部分とで段差が出来てしまっている状態となりました。
  • 画像右側(下)は、岡山国際サーキットにてローター状態が悪い状態で走行後のローターです。
    走行前から細かなクラックが発生していた状態で、走行中にクラックが成長して裏側まで貫通した大きなクラックとなってしまいブレーキジャダーが発生しました。
    特にブレーキ負荷の掛かる環境下でサーキット走行する場合は、大事に至る前に早めの点検と交換をお薦めします。(上記車輌は走行出来ない状態となりました)

パッド使用限度値を超えて使用した事例

使用限界を超えた状態でサーキット走行した事例です。
トラブルローター トラブルローター
  • 画像左側(上)は、セントラルサーキットにて使用限度値を超えた摩耗状態のパッドとローターにてサーキット走行した後の状態となります。
    特にインナー側(ハブ側)の摩耗状態が激しく摩耗している状態です。
    パッド残量が少ない状態でブレーキ負荷の掛かるサーキット走行では、摩材部分が減っていると熱容量を受け止めきれず、ローター側からの熱伝導も非常に高くなってしまうので危険です。(常時高温状態になります)
  • 画像右側(下)は、上記車輌のキャリパーピストン部分です。
    ダストブーツは高温に晒されシール部分も熱害による損傷を受けています。
    高温が持続するサーキット走行では、パッド摩材が十分残っている事を確認して下さい。
    ブレーキに厳しいサーキットでの走行の際は、摩材部分が半分程での早めの交換をお薦めしています。
    (パッド摩耗は高温に比例して多くなります)

トラブルローター トラブルローター
  • 上画像2枚は「SC5」にて使用限度値を超えて使用したパッドです。
    セミメタルのハイスチール材は高温持続状態でもパッドが耐えてしまう為、高温時の使用を前提に摩擦材と裏板が剥がれない様に真鍮製のピンと剝離防止処理等の加工を施しています。
    ローターに接触しても真鍮が溶解する事によりダメージを低減してはいますが、ローターに摩材原料と真鍮が織り交ざって擦りつけてしまいますので早めの交換をお薦めします。
    真鍮ピンは4mm程度が摩擦材部分に埋め込まれていますので、サーキット走行での使用の際には摩擦材部分が半分以下を目途に交換する事を推奨しています。